ほっとタウン - 2013年02月号 -  公益財団法人 荒川区芸術文化振興財団

ほっとタウンは荒川区芸術文化振興財団が毎月発行している、荒川区の地域情報誌です。区内の様々な情報や、区民のみなさまが参加されている各団体の活動、区内のイベントなどを掲載しています。


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ほっとチほっとチームほっとチーム広告のお申し込みは・荒川区芸術文化振興財団☎3802-7111ACC         2013年3月号NO.291I02情報満載のオフィシャルサイトへアクセス!荒川区芸術文化振興財団地域の中で孤立しがちなお母さんたちの育児を、ボランティアで支える 赤ちゃんを抱え、初めての育児に戸惑ったり音をあげてしまったりするお母さんが増えているなか、産後まもないお母さんたちにとって心強い存在が、ボランティア団体﹁35︵産後︶サポネットIN荒川﹂。︵産後︶サポネットIN荒川♥行政と地域が連携する珍しい試み 地域住民と学生の協力体制も貴重♥ ﹁35サポネットIN荒川﹂︵以下、サポネット︶は、その名が示すように、産後のお母さんたちをサポートするネットワーク。頭の﹁35﹂は、〝産後〟の語呂合わせと発足メンバーが35人だったことを掛けているのだそうです。いまや登録メンバーは100人を超え、大きなボランティア団体になっています。 サポネットのそもそもの始まりは、荒川区内にある首都大学東京︵荒川キャンパスには健康福祉学部と人間健康科学研究科の大学院がある︶の恵美須文枝教授︵専門は助産学︶が、地域の中で孤立する母親たちの姿に危惧を抱いて着手した、文科省の研究費によるプロジェクト﹁地域と大学の連携による育児支援モデルの開発﹂。そのとき声がかかったのが、現在サポネットの代表を務める藤田房江さん。藤田さんは、当時区内で認証保育所を運営しており、地域に根ざした育児の専門家でした。 一方、首都大の呼びかけで行われた﹁子育て支援シンポジウム﹂には関心を持つ人々がたくさん集まりました。このシンポジウム以降恵美須先生に共感した高山恵美さん、角田崇子さん、松熊貴代さんらと藤田さんが中心となり試行期間が始まります。またこのシンポジウムを契機に2004年にスタートした﹁子育て支援ネットワーク会議﹂は区と社会福祉協議会、大学と地域住民が連携した画期的な試みでした。 家庭訪問支援の活動開始はその翌年のことでしたが、藤田さんは、それに先立ち、喫茶フェルメールを経営する友人の角田崇子さんと相談し、喫茶店での子育て相談や母親のティータイムの間の赤ちゃん預かりなどのボランティア活動を行なっていました。そして家庭訪問による育児支援活動を始めた藤田さんらは、その必要性を強く実感し、区に活動の継続を提案します。2006年、区から補助金を得、サポネットが正式に誕生。窓口はフェルメール、首都大の先生・学生と地域とが協働するシステムが、こうして起動しました。♥問題が出る前の予防の役割と 母親自身の自立のための援助♥ ﹁いま、出産直後から4ヵ月検診まで、ほとんど外に出ないお母さんが多いんです。おじいちゃんおばあちゃんの手助けもなく、孤立していて、育児をどうしていいか分からない。そうすると虐待や産後鬱にもつながりかねませんよね。そういうお母さんたちに、援助を求めてもいいんだよということを教えてあげる。そして少しでも悩みや負担やストレスを減らしてあげる。サービスではなく、お母さん自身が自立していくための援助だと思っています﹂と、代表の藤田さんは語ります。実家が遠かったり、母親が就労や祖父母の介護などで手伝ってもらえないケースが多いといいます。けれど、国の制度では、生後6ヵ月までは一切のサービスがありません。むしろ大事な、いってみればお母さんたちにとって危機的な期間である6ヵ月までの時期、行政の隙間をサポネットがフォローしているわけです。 ﹁全国にも類のない支援のあり方だと思います。こういう民活を、荒川区が応援してくれているのがとてもありがたいことです﹂︵藤田さん談︶ サポネットの体制は、相談窓口に支援希望の連絡が入ると、困っていることや家庭状況を詳しく聞いたうえで、1ケースに対して4∼5人の支援チームで対応する形。チームは、民間ボランティアと看護師・保健師の卵である首都大の学生とで編成されますが、専門的なアドバイスが必要な場合は首都大の先生に相談する態勢も整っています。 活動の内容は、最大週2回、6ヵ月間、赤ちゃんの世話を中心に、ケースに応じては、外出の同行、上の子供の遊び相手、母親が具合が悪くなったときの見守りなど。最初は、利用料は無料だったのですが、それではかえって頼みにくいという利用者の声が強く、現在は1回2時間500円の形で定着しています。♥あくまで利用者と対等な関係で ありがとうと言われるのが嬉しい♥ ﹁そのお母さんのバックボーンを見て、アドバイスとお手伝いをしています。マニュアルでこうしたらと決めているわけではなく、ケースを検討しながらみんなで相談して支援にあたっています。なによりお母さんといい関係を作っていくことが大切なんです。しかも私たちはプロではありませんから、あくまで利用者と対等な関係。それもいい形に作用していると思います﹂と藤田さん。 ところで、藤田さんたちからお話をうかがったのは、﹁実家倶楽部﹂と名づけられた2階建て家屋の1階スペース。サポネットは補助金でここを借り上げ、理由を問わずに未就園児を一時的に預かる活動も行なっています。理由によらず預けられることが、母親にとってありがたいにちがいありません。 サポネットの活動について、﹁お母さんが、子供をどう育てようかという初めの時期に出会えるということに、やりがいを感じますね。ありがとうと言われるのが嬉しいですし、利用者だったお母さんが、サポネットに加わってくれることがあり、それがなにより嬉しいこと﹂と語る藤田さんがかたわらの角田さんを見やれば、角田さんも大きく頷いたのが印象的でした。みんなの実家では子ども達が元気に遊んでいました。35E-MAIL:SAPONET35@YAHOO.CO.JPお話を伺った代表の藤田房江さん。ボランティア団体35︵産後︶サポネットIN荒川事務局[みんなの実家]〒116I0002荒川区荒川6I27I6宮内方☎3809I4035︵月∼金開設中のみ︶取材時「みんなの実家」でサポートをしていたメンバーの方々。


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