ほっとタウン - 2013年11月号 -  公益財団法人 荒川区芸術文化振興財団

ほっとタウンは荒川区芸術文化振興財団が毎月発行している、荒川区の地域情報誌です。区内の様々な情報や、区民のみなさまが参加されている各団体の活動、区内のイベントなどを掲載しています。


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広告のお申し込みは・荒川区芸術文化振興財団☎3802-7111ACC         2013年11月号NO.299I02ほっとチームほっとチーム高校生チームが俳句の創作力や鑑賞力を競い合う﹁俳句甲子園﹂で、7度目の優勝を果たした開成高校俳句部。わずか17文字に自分だけの表現を求め、仲間たちと切磋琢磨する若き俳人たちの活動をご紹介します。開成高等学校俳句部全国の高校生が競い合う  夏の﹁俳句甲子園﹂で優勝情報満載のオフィシャルサイトへアクセス!ACC公益第16回俳句甲子園優勝俳句部メンバーと顧問の佐藤先生俳句部練習風景 荒川区には俳人に縁のある場所が多々あります。良く知られているところでは、松尾芭蕉が奥州へと旅立った千住大橋。小林一茶が度々訪れた日暮里本行寺。意外なところでは、西日暮里駅近くの開成学園︵開成中学校・開成高等学校︶。正岡子規が松山から上京して大学受験に備えて学んだのが開成学園の前身の共立学校です。 開成高等学校︵以下、開成高校︶の俳句部は、今年の﹁第16回俳句甲子園﹂で、2年ぶり7度目の優勝を勝ち取り、最多優勝回数を誇っています。俳句甲子園とは、毎年夏に正岡子規の故郷、愛媛県松山市で開催される全国高等学校俳句選手権大会の通称で、高校生が5人1組のチームとなって俳句の創作力や鑑賞力を競い合うものです。今年は、24都道府県の32校36チームが8月24日︵準々決勝まで︶、25日︵準決勝・決勝︶に熱い闘いを繰りひろげました。 開成高校からは東京予選で優勝したAチーム、投句審査で選出されたBチームが参加。試合はトーナメントで、予め指定された兼題︵テーマ︶の俳句を対戦チームが交互に1句ずつ披露し、詠んだ句に対して質問をする側︵攻︶と、それに応える側︵守︶に分かれて討論を行います。そして、攻守を見守る審査員たちが、俳句そのものの表現、創作力に加えて、俳句をどう鑑賞しているか、批評力も採点して多数決で勝敗を決めていきます。見事優勝旗を手にした開成高校Aチームの作品を掲載しますので、ぜひ、声に出して味わっていただければと思います。 暑かった夏が過ぎ、空高く涼しい風が吹きはじめた秋のある日、活動中の俳句部を開成学園に訪ねました。 学内での練習は和室。畳に座布団、文机が並び、正面には、顧問の佐藤郁︵さとう・かおる︶先生、左右に部員たちが座って歳時記と電子辞書を開き、予め決められた兼題、当日知らされた席題で創作の真っ最中。できあがった句は名前を伏せて清記用紙に書いて全員に回し、各々が選句していきます。中高一貫教育のため、部員は中学生と高校生の混成。句を読み上げての選評では、中学生が佐藤先生の句に感想を述べたり、高校生が中学生の句を評価したり、真剣に、時に笑いも交えながら共感や異論など、自由に意見を言い合います。先生からは﹁違う動詞を使ったらどうか﹂﹁独自の存在感がある﹂﹁形状をもっとていねいに見て﹂﹁音の軽妙さが重要﹂などと、的確な指導が入り、たくさんの句がテンポよく選評されていきます。 選評の後、俳句甲子園に出場した高校生を中心に、俳句のおもしろさ、難しさなどについて聞いてみると、﹁俳句にはその人なりの味が出ます。選評でお互いの個性を認めて伸ばしていけるのが楽しい﹂﹁俳句を作るようになって、季語と向き合い、風景を見るだけでも、ものの見方が深まったように思う﹂﹁本当は沢山言いたいことがあるのを、いかに17文字で表すか。そのプロセスが難しくもあり、おもしろさでもあると思う﹂などと語ってくれました。また、中学生からは先輩の句を見て自分が高められる、高校生からは後輩の句に刺激を受ける、という言葉が出て、お互いへの尊敬や信頼が感じられました。 最後に、佐藤先生に現状と今後についてお伺いしました。﹁俳句甲子園が終わると上級生が抜け、新しい部員が加わり、来年に向けて新しく準備を始める期間です。この期間に俳句を楽しみ、真剣に向き合うことで、俳句のおもしろさがしっかりと分かってきます。今後もこれまでと同様に、皆で取り組んでいって欲しいと思います﹂ 来年の俳句甲子園でもまた、開成高校らしい、すばらしい活躍をしてくれることでしょう。 荒川区内には、﹁奥の細道矢立初めの全国俳句大会﹂﹁ひぐらしの里俳句大会﹂﹁子ども俳句相撲大会﹂など、俳句文化を守り育て繋ぐ催しが沢山あり、来年度には、松尾芭蕉﹃奥の細道﹄縁の市町村と関係機関が全国から集う﹁奥の細道サミット﹂の区内開催も決まっています。﹁芸術の秋﹂、皆様も是非一句ひねってみませんか。画用紙に地平を与へ草田男忌︵先鋒︶紙魚這へり六条御息所の愛︵次峰︶海光に団扇の紙の透けてをり︵中堅︶サーカス小屋紙のごとくに揺れて秋︵副将︶原稿は白紙でみんみんが近い︵大将︶中学・高校生が共に  俳句で自らを高める︿第16回俳句甲子園 決勝戦より﹀兼題=﹁紙﹂ 開成高校Aチームの作品


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