ほっとタウン - 2014年01月号 -  公益財団法人 荒川区芸術文化振興財団

ほっとタウンは荒川区芸術文化振興財団が毎月発行している、荒川区の地域情報誌です。区内の様々な情報や、区民のみなさまが参加されている各団体の活動、区内のイベントなどを掲載しています。


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広告のお申し込みは・荒川区芸術文化振興財団☎3802-7111ACC         2014年1月号NO.301I02坂田一郎さんさかたいちろう東京大学工学系研究科教授イノベーション政策研究センター長情報満載のオフィシャルサイトへアクセス!ACC公益 経済産業省で長く国の経済政策に携わった後退官し、アメリカ生活を経て帰国後から荒川に住み始めて15年余り。母校である東京大学で教授を勤める傍ら、卓見を求められてテレビやラジオに出演したり、区内では行政・組織の顧問や相談役などに多く任命され、時には小学校に通うお子さんの良きパパでもある坂田一郎さん。多岐にわたる活動内容を中心にお話を伺いました。 経済産業省時代から西川荒川区長とは旧知の間柄。通勤に便利と選んだ荒川区に住むようになって、地元の行政にかかわる事が多くなったそうです。平成18年度に、﹁これからの図書館調査懇談会﹂の委員を委嘱されたのが最初で、その時は、ご専門の産業振興の観点から﹁新しい図書館のあり方としては、荒川区の状況を踏まえて、中小企業の方々が使えるようなデータや資料なども取り揃えたビジネス支援図書館の機能が必要﹂とご提案され、その考え方は、来年から工事が始まり平成28年度に完成予定の︵仮称︶荒川2丁目融合施設内の新しい図書館の構想にも活かされているそうです。 また、同じ頃に、区が区内産業の活性化のために設置した、産学官の顔が見えるネットワークの構築を軸とする﹁荒川区モノづくりクラスター︵MACC︶プロジェクト﹂の立ち上げにもかかわり、区内のさまざまな分野の企業が連携して、新しいビジネスの芽を生み出す事業にも貢献されています。 荒川区の基本構想には﹁生涯健康都市﹂﹁子育て教育都市﹂﹁産業革新都市﹂﹁環境先進都市﹂﹁文化創造都市﹂﹁安全安心都市﹂という6つの柱がありますが、坂田さんはMACCをはじめとする﹁産業﹂に始まり、﹁環境﹂・﹁教育﹂へと活動分野が広がっています。 そして、荒川区民総幸福度﹁GAH︵グロス・アラカワ・ハピネス︶﹂の指標作りにも深くかかわっています。 ﹁総幸福度は、世界ではブータン王国が有名ですが、日本では西川区長が荒川区に最初に取り入れたことで内外から注目されています。人によって異なる幸福実感を区民調査から分析し、区政に活かしていくもので、今年行った区民調査では多くの方々に協力をいただきました﹂ なお、これまでの区政世論調査の分析結果によれば、地域に愛着のある人ほど幸福実感が高いという結果が出ているそうです。 2011年の東日本大震災の影響により、荒川区は計画停電を経験しました。その経験から、2度と計画停電等がないよう、先進的に節電努力を行う節電対策本部を設けました。坂田さんはその顧問として効果的な節電ノウハウを区民に呼びかける手法を考えたり、町内会や商店街へ子どもたちの明日、荒川の未来を     より豊かに育んでいくために■プロフィール1966年生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学博士(工学)。荒川区には1997年から居住し、地域の活動にも参加。現在、荒川区の教育委員、芸術文化振興財団の理事等を務める。2012年、荒川区功労者表彰を受賞。2013年、NHKスペシャル「震災ビッグデータ2復興の壁未来への鍵」、「メイド・イン・ジャパン逆襲のシナリオ2」に出演。主要編著書「クラスター形成による『地域新生のデザイン』」(東大総研)、「クラスター組織の経営学」(中央経済社)、「あたたかい地域社会を築くための指標―荒川区民総幸福度―」(八千代出版)、「知の構造化の技法と応用」(俯瞰工学研究所)など。小さな企業が元気になる仕掛けや区政の指針作りの調査研究も日常的に節電努力を行うためにまずは子どもたちの意識を高める東京大学でのイノベーション国際会議の広がり、学校教育との連携などを提案されたそうです。 荒川区のシンボルキャラクター﹁あら坊﹂や都電をあしらったかわいい﹁エコカード﹂は、この対策本部の検討の中から誕生したグッズです。坂田さんは、このエコカードを区の節電イベントや学校での環境教育で子どもたちに配り、まず子どもたちから節電意識を高めるのが大事と熱く語ります。 長くかかわった経済政策を基に、坂田さんの現在の専門はイノベーション研究。これは情報工学を用いて、新しい技術やアイデアを市場や課題解決に活かすもので、技術と経営の融合領域。そして、その研究を教育分野に活かすのが今後の重要な活動のひとつになると言います。 ﹁現在の私たちは情報の海に溺れそうな状態です。大量の情報の中から自分にとって有益な情報を選び、優先順位をつけ、情報を整理して活かしていかなくてはなりません。特に、これからの新しい時代を生きる子どもたちには情報の選択や構成能力がたいへん重要になります﹂ 図書館で本を読む、周りのお年寄りの話を聞く、それらと同時に、タブレット端末を使った授業で学ぶ荒川の子どもたち。将来を担う子どもたちが情報の海をうまく渡っていけるような力を育てていきたいと、温かいまなざしで語っていただきました。最後に、地域への愛着を失わず、荒川区民総幸福度などの先進的な活動を行っている荒川の良さを、もっと広く発信する必要があると今後への課題で結んでくださいました。地域密着と先進性をアピール


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