ほっとタウン - 2014年06月号 -  公益財団法人 荒川区芸術文化振興財団

ほっとタウンは荒川区芸術文化振興財団が毎月発行している、荒川区の地域情報誌です。区内の様々な情報や、区民のみなさまが参加されている各団体の活動、区内のイベントなどを掲載しています。


>> P.2

ACC         2014年6月号NO.306I02ほっとチーム荒川区民交響楽団情報満載のオフィシャルサイトへアクセス!ACC公益今年20周年を迎える、荒川区を代表するアマチュアオーケストラ﹁荒川区民交響楽団﹂。これまでの活動の歩みと、8月の﹁荒川区民オペラ第16回公演﹂についてお話を伺うため、練習会場を訪ねました。日暮里ひろば館での熱のこもった練習2012年第14回公演「マクベス」より荒川区民オペラ第16回公演ヴェルディ作曲﹁運命の力﹂全幕■日時平成26年8月2日︵土︶午後6時開演3日︵日︶午後2時開演■場所サンパール荒川◎その他詳細な公演情報は、6ページをご覧ください。 都内各区には、それぞれ地域の音楽愛好家が集まり、﹁区民﹂の名称をつけて活動するアマチュアオーケストラがあります。しかし、﹁荒川区民交響楽団﹂が他区のそれと大きく異なる点は、﹁オペラ﹂を活動の柱にしたオーケストラであるということです。 1994年7月に、オペラ愛好家が集まって﹁区民でつくるオペラコンサート﹂の第1回公演を行った際、オーケストラメンバーが継続的な活動を目的に立ち上げたのが﹁荒川区民交響楽団﹂。荒川区にはオーケストラもなく、荒川区を冠した団体がなかったことから、オペラを中心に活動を行う交響楽団として、同年9月に発足しました。主な活動は、この団体ならではの夏のオペラ公演、管弦楽を披露する冬の定期演奏会。そして2003年以降は、毎年12月恒例の﹁荒川第九演奏会﹂のオーケストラも担当しています。 発足から20年、さまざまな苦労を乗り越えながら、現在約60名のメンバーが力を合わせ、ますます精力的に活動を続ける﹁荒川区民交響楽団﹂について、団長の安達延幸︵あだち・のぶゆき︶さんに伺いました。 オーケストラには通常、弦楽器がありますが、当初の﹁荒川区民交響楽団﹂は管楽器ばかり。近隣の団体に手伝っていただいて、どうにか演奏会を乗り切っても、次の練習では、またブラスバンドのような状態に戻ってしまうため、弦楽器の方が見学に来ても、入団までに至らないという期間がしばらく続きました。 ﹁発足した年の12月、尾久小学校の体育館で行った﹃結成記念コンサート﹄は、ストーブはあったものの演奏ができないくらい寒かったですし、翌年の都立医療短大︵現首都大学東京︶の講堂で行った﹃第1回定期演ンバーの分は、練習場所である﹁日暮里ひろば館﹂の近くの繊維問屋で布を買い、メンバーたちで衣装を作り、コンサートマスターがミシンをかけることも。 都心のコンサートホールで行われる公演では、チケット代が数万円と敷居が高いというイメージがあるオペラですが、﹁荒川区民オペラ﹂は、身近な場所で、気軽に楽しむことができるのが魅力。﹁オペラっておもしろいんだ﹂、子どもなら﹁楽器をやってみたい﹂と、オペラやクラシックに興味を持つきっかけとなり、地域の芸術文化活動がさらに活発になって欲しいというのが﹁荒川区民交響楽団﹂の想いです。活動を続けるなかで、演目や出演者でお客様の関心が左右されることが多いオペラやクラシックにも関わらず、﹁荒川区民オペラは毎年行ってるよ﹂、﹁定期演奏会は我が家の行事です﹂と、﹁荒川区民交響楽団﹂に付いてくださるファンも生まれています。 そして、2ヶ月後に控えた8月の﹁荒川区民オペラ第16回公演﹂の演目はヴェルディ作曲﹁運命の力﹂全幕。実は、毎年公演を行っているサンパール荒川が、来年改修工事を行うため、次のオペラ公演は再来年になってしまいます。そんな理由から今年はお客様の記憶に残る、印象的な演目をやろうと選んだのが、この作品。 ﹁バレエも入りますし、大曲なので練習も大変ですが、合唱メンバーもいつかはやりたいと言っていた作品ですし、オーケストラメンバーもヴェルディが大好きなので、このタイミングでやろうということになりました。ほんとにかっこいい曲なんですよ。他のオーケストラでも滅多にやらない演目なので、多くの方にぜひ聴いて欲しいと思います﹂と意気込みを語る安達さん。 ﹁荒川区民交響楽団﹂では、2011年3月の東日本大震災以来、﹁荒川区民オペラ﹂﹁定期演奏会﹂で義援金を募り、毎年8月にメンバーが被災地の釜石市へ直接届けています。8月の﹁荒川区民オペラ﹂の会場でも引き続き、釜石市の芸術文化の振興のための募金活動を予定しています。 熱のこもった練習を拝見し、8月のオペラ公演への期待が高まりました。皆さんもこの機会にオペラに触れてみませんか。奏会﹄では、舞台が狭くて自分たちで板を調達し舞台を足したこともありました。その頃はプログラム作成もコピーで対応していたり、無料公演でした。それでも活動を続けてこられたのは、アマチュア団体には珍しい後援会があり、その会員の方々の支えもあったからなんです﹂と発足当時を振り返る安達さん。 後援会立ち上げにも尽力した前団長が辞められ、安達さんが団長を引き継いだのは1998年。以来、﹁荒川区民交響楽団﹂が活動のなかで最も大切にしているのは、﹁音楽づくりをみんなで楽しむ﹂ということ。そのため、﹁荒川区民交響楽団﹂では入団に際しての経験年数やレベルといった線引きが一切ありません。広く門戸が開かれ、本人の意思で入団を決めることができます。また、子ども連れのメンバーが多いのも特長です。子どもが生まれると辞めざるを得なかったり、背中におぶりながら練習したり、苦労していた女性メンバーのために練習部屋の隣りの部屋を借り、子育て中のメンバーが交代で子どもを見ることで、みんなで活動を続けられる環境を整えてきました。それは思いがけず、子どもたちへの波及効果を生み、小さい頃に両親の間に座って聞いていた子が、ある日ヴァイオリンを弾き始め、小学3年生になった今では、正式メンバーとして演奏会に参加するまでに成長するなど、次の世代の育成にもつながっています。 オペラ公演は、最初はお金もノウハウもなく大変でしたが、回を重ねながら人脈を広げ、演出家、ソリスト、舞台スタッフといったさまざまなプロの方々の協力を得て、徐々に形となってきました。一方で、資金は限られているため、ソリストの衣装はレンタルしても、合唱メ8月の﹁荒川区民オペラ﹂では、    ヴェルディの大曲に挑む﹁オペラ﹂を活動の柱に掲げる    アマチュアオーケストラ荒川区民交響楽団団長 安達延幸さん大切にしているのは、  音楽づくりをみんなで楽しむこと


<< | < | > | >>